主婦の店 さいち

先週だったか、出張先のホテルで朝出かける支度をしながらテレビを
つけていたら宮城県は仙台市の郊外にある有名な秋保温泉街の中の
スーパーマーケットの紹介をしていました。
見るともなく聞き流していましたが・・・その内、引き込まれて
出かける支度もそっちのけでテレビの前に座り込んで見てました。
出てたのは主婦の店「さいち」の社長 佐藤啓二さん(75才)でした。
このお店では平日5千個、休日だと1万個のおはぎが売れるそうです。
近所の老人からお盆に「孫に美味しいおはぎを食べさせてやりたいから
作ってほしい」と頼まれ作ったのが始まりで、それを店頭に並べたところ
売り切れてしまった。それではと作れば売り切れが続き、客が客を呼び
一気に看板商品となったそうです。そのおはぎ、お盆には1日2万個も
売れるそうですから凄いです。

それだけでは世の中に良くある話ですが・・・この「さいち」さんは
普通のスーパーと違い、惣菜が売上の50%以上を占めるそうです。
それも200種類近くもあって、すべて手作りと言いますから驚きです。
社長さんいわく「ライバルは近所の主婦、どこの家庭でもやっている事を
しているだけ」家庭料理の延長だから、添加物は使わない、チラシもない。
素材加工から調理、包装とすべて自社の工場で行うそうで、暗いうちから
作業にかかります。代表選手のおはぎも、惣菜もレシピはありません。
何でもマニュアルと言う時代にあって「経験と熟練」の味で手作りとなれば
大量に安くをモットーとする大手スーパーではとても真似ができません。

惣菜作りは奥さんの仕事。ライバルは主婦と言うだけあって主婦が買いに
来る味を出すのが最も大切。従業員も近所の主婦、おはぎを1人前に作る
には年単位の経験と熟練が必要とか、全ての商品に「主婦の味を超える」
こだわりを持った作り手が居るからこそ、皆に愛され繁盛するのでしょう。

日本中の大手スーパーや百貨店が見学や視察に来られては業務提携や
デパ地下への出店等の話がたくさん来るそうですが店舗展開は全く
考えてないそうです。専務(息子さん)が「目が届かなくなるので
1店舗だけで今後もやってゆきます」と企業ポリシーも明確でした。
商売の秘訣は「とにかく美味しいものを作る」利益は後からついてくる。
私たちが忘れかけている「何か」を思い出させていただいた気がします。

景気低迷期にあって「やり方次第」の1言で片付く問題ではありませんが
何か目指すものを教えていただいた気がするのは私だけでしょうか?
手間をかけて「とにかく美味しいものを作る」は大量消費時代にあって
物の価値を見直すことを示唆しているように思えてなりません。
仙台、秋保温泉には2〜3回行きました。この店の前を通った気がします。
そんな店とは全く知らずに残念なことをしました。行ってみたいです!!
comments (1) | -

会社、社長業

Comments

書店塾 | 2010/12/23 04:29 PM
お久し振りです。ますますお元気そうですね。
さて、このお店の事は、私も最近次の本で読みました。
『売れ続ける理由』(佐藤啓二著 ダイヤモンド社 1429円外税 H22.9発行)
「さいち」の佐藤社長ご本人が書かれている本で、大変感動いたしました。私のブログでも紹介しています。
 どん底からの創業から、現在に至るまでの実務経験と商売哲学を語る、「おじいさんの知恵袋」みたいな本ですが、実にいい本でした。商売の原点とは何かということを再認識させられます。浮ついた所がまったくなく、額に汗してコツコツと地道に努力すれば結果はついてくるという話なのですが、久々に「愚直」という言葉を思い出しました。
 どこか伊那食品工業などの『日本でいちばん大切にしたい会社』に登場する会社の雰囲気があります。恐らくこのやり方ではチェーン展開は難しいでしょうが、元々「大きな会社」ではなく、「いい会社」を目指しているのでしょう。経営者の目の届く範囲、身の丈にあった経営、地に足が着いた経営です。こういう会社を目指したいと思っています。

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