一握の砂

題名を見て直ぐに何か、分かった人は私と近い年齢の方か
もしくは、その分野がお好きな方でしょうか?
結構有名なのですが・・・好き嫌いがありますから難しい。
今、小学校の国語教科書にあるのかどうかは知りませんが
団塊の世代の方なら教科書で何度か向かいあっています。

数日前の新聞に載ってて久しぶりに思い出しました。
「一握の砂」は石川啄木の歌集です。
私の青春時代、一番好きな歌に

「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる」

丁度、失恋でもしていたのでしょうか、何故か分かりませんが
最も印象深く残っています。さりとて当時の初恋人?が誰で
あったかなど記憶に残っている訳でもありません。
妙にこの歌が時々思い出されます。
日々、怒涛の中に居て歌など思い出す間もないのですが・・
車窓から海を見たりすると「ふっ」と脳裏に浮かびます。
元来、寂しがり家にできているのか寂しい歌が結構好きです。

喧騒を逃れてしばし啄木の世界にご案内しましょう。

追憶編
「ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく」
「砂山の砂に腹這ひ 初恋のいたみを遠く おもひ出づる日」
「たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず」

仕事編
「こころよき疲れなるかな 息もつかず 仕事をしたる後のこの疲れ」
「こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ」
「腕拱みて このごろ思ふ 大いなる敵目の前に躍り出でよと」

「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」
「いらだてる心よ汝はかなしかり いざいざ すこし呻などせむ」

風情編
「馬鈴薯のうす紫の花に降る 雨を思へり 都の雨に」
「わが庭の白き躑躅(つつじ)を 薄月の夜に 折りゆきしことな忘れそ」
「雨に濡れし夜汽車の窓に 映りたる 山間の町のともしびの色」
「あさ風が電車のなかに吹き入れし 柳のひと葉 手にとりて見る」
「かりそめに忘れても見まし 石だたみ 春生ふる草に埋るるがごと」

心情編
「高きより飛びおりるごとき心もて この一生を 終るすべなきか」
「負けたるも我にてありき あらそひの因も我なりしと 今は思へり」
「何となく汽車に乗りたく思ひしのみ 汽車を下りしに ゆくところなし」
「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ」
「さりげなく言ひし言葉は さりげなく君も聴きつらむ それだけのこと」

「はっと」させられました。諸兄は自分の歩く姿をまじまじと見たことが
ありますでしょうか?知らず知らずの内に歩き方が変っているのに
気が付いてないかも知れません。そろそろチェックする頃では?!

「鏡屋の前に来て ふと驚きぬ 見すぼらしげに歩むものかも」

如何でしたか、お気に召した歌がありましたでしょうか?
啄木の「一握の砂」551首、一度手にとってみては如何ですか?
次回は恋愛歌でも選んでみましょうか・・ご期待ください。
comments (1) | -

生活

Comments

S/F | 2010/06/16 09:00 AM
一握の砂、懐かしいですね。
拙宅にも1冊あります。父から譲られたものです。
私が小学生の頃には教科書に載っていました。

「ふるさとの訛なつかし 停車場の
       人ごみの中に そを聴きにゆく」

これの解釈を数日かけて学んだ日々が懐かしいです。
当時の私には、ピンとこない心情から詠まれたものでした。

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